コラム
木の豆知識
Posted on 2015/10/26
コラム
木は命を守る!!
よく目にする木。
木は、私達の生活の中で色々と役立っています。住宅はもちろん、染料・クレヨン・ワックス原料・消臭材料・本・ノート・ティッシュペーパーと様々な分野で活用され、私達の生活を支えてくれます。木は、太陽と光のエネルギーを利用して、葉で光合成を行い水と二酸化炭素から炭水化物をつくり、酸素を放出しています。
木は、地球上の肺と言われ、生命を支える大きな働きをしています。
木は自然のエアコン
温度は冷房で調節ができますが、湿度はなかなか一定に保つことは難易です。 その湿度を調節してくれるのが木です。
木は、空気や水を含む小さな穴が細胞と細胞の間にあり、私達と同じ呼吸をしています。 湿度が高い時は湿気を吸い取り、カビや菌の増殖を抑制し、アレルギーやクシャミの予防をしてくれまた、湿度が低い時は湿気をはき出し、風邪の予防・喉の痛みを抑制してくれる働きがあります。
木は目にやさしい
木は、生育環境や大きさ、年輪幅や形が様々です。この自然が作り出す形や暖色系の色が「あたたかい」「落ち着く」「和み」などの視覚的効果で目によいイメージを与えます。
また、目に有害と言われる紫外線を吸収する性質をもっているので、反射が小さく目にとてもやさしいのです。
木は耳にやさしい
音には、低音・中音・高音とあり、物を落としたり、ぶつかったりする衝撃音と、テレビやラジオ・ステレオから流れる音とあります。木はそれぞれの音をバランスよく吸収しながら音を反射させる為、残響時間も短くとてもやわらかな音が聞こえ耳や脳に負担がなくストレスをなくします。
木は肌にやさしい
人間は温度を皮膚で感じとても敏感です。急激な温度変化に疲労やストレスを感じます。
木は小さな細胞の固まりで密度が低く熱を伝えにくく断熱効果がある為、人間の熱を奪いにくいのです。また、衝撃を和らげる効果もあり、ケガを最小限に抑えてくれ、小学校や福祉施設では木を使った建物が復旧しています。
木と心のつかながり
森林に入るとすがすがしい気分になり、思わず深呼吸をし、かすかな香りを感じたことはありませんか。
あれがフィトンチッドです。
木自身が作り出して揮発しているr―ピネンと言う物質が含まれており、脈拍数を減少させ、血圧が低下して安定することが研究で明らかにされています。
興奮や緊張している身体を和らげ気持ちを落ち着かせて、心身を和らげ気持ちを安定してくれる働きがあります。
木を製材してからも効果は変わらず、日常生活の中でも自然と同じようにリラックスし、心身ともにリフレッシュでき、また活力を与えてくれる働きがあります。
そして、やはり日本人にとってほっとする素材なのです。
木の香り
針葉樹から放たれる芳しい香りの正体は、主に天然物で最大の化合物数(40,000種以上) を誇るテルペノイドと言うグループに属している化合物たちです。針葉樹は2億年以上前に出現し、無数の昆虫や病原菌などの攻撃にさらされながら、現在まで様々な進化を続けてきたわけですが、その悠久の時の流れの中で、外敵から身を守る成分(防御物質)として様々なテルペノイド化合物と、それらの絶妙なブレンドが生まれました。ですから木の香り成分には、昆虫を遠ざけたり、殺菌したりする性質を持っているものがたくさんあります。さらに驚くべきことに、自分の葉っぱを食べる外敵から身を守ってくれる味方(肉食性のダニや寄生バチ)を、香り成分を使って呼ぶ植物もいます。このように香り成分は本来、植物の防御・コミュニケーション物質であるわけですが、木は、自分が作り出した香り成分を人にも恵みとして分け与えてくれます。木の芳香をかぐと、脳波や血圧が変化し、リラックスします。ガン予防効果やダイエット効果がある香り成分や、風邪薬になってくれる香り成分も含まれ、木の香りは私たちの健やかな暮らしのために役立ってくれています。
暮らしの中の木の香り、それは木が分け与えてくれる貴重な恵みです。
島根大学総合理工学部 材料プロセス工学科
准教授 加藤 定信